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採用コストの回収”は何年でできる? 中小企業が見落としがちな人材投資の損益分岐点

  
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採用コストの回収”は何年でできる? 中小企業が見落としがちな人材投資の損...

1. 結論:採用は「回収できるまで」が本当のゴール

採用活動をしていると、つい「まずは人を入れること」がゴールになってしまいがちです。

もちろん、人手不足を解消するためには採用そのものが大切ですが──

実はそれは“スタート地点”にすぎません!


なぜなら、採用した人が会社に利益をもたらす存在になるまでには、想像以上の時間とコストがかかるからです。

例えば、入社直後は研修やOJTに時間を使うため、生産性はまだ低い状態。

徐々に業務に慣れ、売上や成果を出し始めてようやく「投資回収」のフェーズに入ります。

統計や現場の感覚を踏まえると、中小企業の場合、採用コストを回収できるまでには平均で2〜3年かかると言われています。

もし1年以内に辞めてしまったらどうなるでしょう?──答えはシンプルで、回収どころか投じたコストがそのまま損失になります。

だからこそ、採用を本当の意味で成功させるには、次の3つが欠かせません。

  • 採用コストと育成コストを正確に把握する
     求人広告や紹介料だけでなく、教育担当者の時間や備品費用も含めて計算します。
  • 損益分岐点を計算する
     「この人材が何年働けば投資分を回収できるのか」を数字で見える化します。
  • 定着率を高める施策を打つ
     職場環境や教育体制を整え、長く働きたくなる職場づくりを行います。

この3つを意識することで、「採用したけどすぐ辞めた」という赤字パターンを避けられ、採用活動の費用対効果を最大化できます。

2. 採用コストは「見えてる部分」だけじゃない

採用コストというと、

  • 求人広告費
  • 人材紹介料

だけを思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし実際には、採用が決まるまで、そして入社してもらうまでに発生する費用はもっと幅広く存在します。

採用コストの主な内訳例

項目内容平均額の目安
求人広告費求人媒体の掲載料、SNS広告費、Indeed・リクナビなどの掲載プラン費用30〜100万円
人材紹介料人材紹介会社への成果報酬。一般的に年収の20〜30%が相場50〜150万円
採用担当者の人件費書類選考、面接、説明会運営などにかかった時間の人件費10〜30万円
入社準備費PCや作業ツール、制服、名刺、ロッカーなどの備品購入費5〜20万円
研修費外部研修費用、講師への謝礼、教材やマニュアル制作費10〜50万円


ここで注目したいのは、「目に見える現金支出」だけでなく、採用担当者や面接官が割いた時間=人件費も立派なコストだという点です。

面接や説明会のたびにベテラン社員や管理職が参加すれば、その分だけ本来の業務時間を削ることになり、生産性の低下につながります。

また、中途採用では特に人材紹介会社経由の採用費が最も大きな割合を占めることが多く、1名あたりの紹介料が100万円を超えることも珍しくありません。

新卒採用ではこれに加えて

  • 説明会の会場費
  • インターンシップの運営費
  • 資料印刷費

なども必要になり、最終的に1人あたり200〜300万円に達するケースもあります

このように、採用活動は「求人広告を出すだけ」の単純なコスト構造ではありません。

だからこそ、採用コストを正確に洗い出すことが、採用ROI(費用対効果)を把握する第一歩になるのです。

3. 見えにくい「育成コスト」

採用コストは数字として見えやすいため、比較的意識しやすいものです。

一方で、意外と軽視されがちなのが「育成コスト」

これは実際にお金が出ていくわけではなく、時間の浪費や機会損失という形で発生するため、経営者や人事担当者が把握していないケースが多いのです。

育成コストの主な内訳

  • 教育担当者(OJT)の時間
    新人が現場に慣れるまで、先輩や上司がつきっきりで指導します。その時間は直接売上を生む活動ではないため、実は隠れたコストになります。
  • 社内研修の準備時間
    カリキュラムを組む、教材を揃える、会場を手配する──これらも担当者の業務時間を消費します。
  • 教育用資料・動画・マニュアル制作費
    業務を効率的に教えるためのマニュアル作りや動画制作は、初期投資としてまとまった時間と費用がかかります。
  • 業務ミスや効率低下による損失
    新人が業務に慣れるまでの間、ミスによるやり直しや作業スピードの遅さが発生し、それも実質的なコストとなります。

計算例

例えば、教育担当者が新人1人に対して1日2時間、3ヶ月間指導するとします。
これを時給3,000円の人件費で換算すると──

2時間 × 60日 × 3,000円 = 36万円

しかもこれは「直接的な教育時間」だけの計算です。

実際には、準備やフォローのための時間、業務効率の低下などを含めれば、この36万円はあくまで最低ライン

現場感覚で言えば、育成コストは採用コストの3〜5割に相当することも珍しくありません。

このように育成コストを正確に把握しないまま採用を進めると、「採用したのに赤字」という事態になりやすくなります。

だからこそ、採用計画には育成期間とそのコストもセットで見積もることが不可欠です。

4. 早期離職がもたらす「採用赤字」の現実

採用と育成に多額の投資をしても、肝心の社員が短期間で辞めてしまうと、その投資は利益を生む前に消えてしまいます。

しかも早期離職は「損失が1回きり」ではなく、再び採用活動をやり直す必要があるため、コストが二重三重に膨らむのです。

モデルケース(新卒採用1名の場合)

採用コスト:250万円
育成コスト(半年間):80万円
合計投資額:330万円

この新人が入社後、順調に成長し、初年度に150万円の粗利を生み出したとします。

単純計算で、330万円 ÷ 150万円 = 約2.2年かけてようやく採用投資を回収できる計算です。

ところが、もしこの社員が1年で退職した場合──

利益150万円 – 投資330万円 = 180万円の赤字になります。

これは単に「元が取れなかった」という話にとどまりません。

赤字の影響は数字以上に大きい

  • 再採用コストが発生:次の人材を採るために、また数十万〜数百万円の費用が必要。
  • 現場の負担増:欠員を埋めるために既存社員の負担が増え、モチベーション低下や離職リスクが高まる。
  • 顧客への影響:担当者の交代により、取引先との関係が不安定になる可能性。

このように、早期離職は単なるコスト問題ではなく、組織全体に連鎖的なダメージを与える危険があります。

だからこそ採用戦略には、「長く働いてもらうための仕組み」をセットで組み込むことが不可欠なのです。

5. 損益分岐点シミュレーション(職種別)

採用と育成にどれだけのコストがかかり、その投資を何年で回収できるのか──。

下記はあくまでモデルケースですが、職種ごとの大まかな回収期間をイメージできます。
粗利は初年度の見込み額で計算しています。

職種採用+育成コスト初年度年間粗利回収までの目安
営業職200万円150万円約1年4ヶ月
製造職150万円100万円約1年6ヶ月
ITエンジニア300万円180万円約2年
事務職120万円80万円約1年6ヶ月

解説:なぜ職種で差が出るのか?

  • 営業職
     売上に直結するため粗利は比較的高めですが、立ち上がりには人脈形成や顧客開拓の時間が必要です。
  • 製造職
     現場作業に慣れるまでの期間が短ければ早く回収できますが、専門技能が必要な場合は教育期間が長くなります。
  • ITエンジニア
     初期コストが高いのは、採用競争の激しさとスキル習得の時間が影響しています。即戦力採用でも2年ほどの回収期間が一般的です。
  • 事務職
     採用コストは低めですが、直接売上を生まないため、粗利ベースでの回収には1年半程度かかります。


※ここでの数字はあくまで参考値です。実際には企業規模・業界特性・求めるスキルレベルによって大きく変わります。

特にスタートアップや小規模企業の場合、教育体制の整備度合いによっては、同じ職種でも半年以上回収期間が変動することもあります。

6. 採用ROI計算シート(簡易版)

計算式

ROI(回収年数) = 採用+育成コスト ÷ 年間粗利

計算例

  • 採用コスト:180万円
  • 育成コスト:60万円
  • 年間粗利:120万円

→ 回収年数 = (180 + 60) ÷ 120 = 2年

この計算をすれば、「何年以内に辞められると赤字になるか」が明確になります。

7. コスト回収を早める3つの方法

採用コストをできるだけ早く回収するには、「採用の仕方」と「入社後の教育設計」の両方に工夫が必要です。

ここでは、中小企業でもすぐ実践できる3つのアプローチをご紹介します!

① 即戦力採用を増やす

経験者採用は初期費用が高くなりがちですが、育成期間を短縮できるという大きなメリットがあります。

特に少人数の企業では、1人の戦力化スピードが業績に直結するため、未経験者をゼロから育てるよりも即戦力採用の方がコスト回収は早くなる傾向があります。

具体例

  • 前職で同じ業務を担当していた人を採用し、入社2週間で顧客対応を任せられる状態に
  • 使用しているツールやシステムが同じ経験者を採用し、研修コストをほぼゼロに圧縮

② オンボーディングの強化

オンボーディングとは、新入社員が早く会社や業務に馴染めるようにする仕組みやプロセスのことです。

これを整えることで、入社初日からの業務立ち上がりがスムーズになり、生産性を上げるまでの時間を短縮できます。

実施のポイント

  • 入社初日に必要なアカウント、ツール、備品をすべて準備しておく
  • 初週の業務スケジュールを事前に共有
  • 配属先のメンバーと顔合わせの場を設定し、心理的ハードルを下げる


③ 教育の仕組み化

教育が特定の先輩や上司に依存していると、その人の業務が滞り、教え方にもばらつきが出ます。

動画マニュアルやチェックリストを活用すれば、誰が教えても同じクオリティの教育ができ、教える側の負担も軽減できます。

効果

  • 教育担当者の時間削減(例:毎回口頭で説明していた作業を動画で統一)
  • 新人が自分のペースで学べるため、理解度が上がる
  • 教える人による「説明の抜け漏れ」を防止

こうした取り組みは単発ではなく、組み合わせて実行することで相乗効果を発揮します。
例えば「即戦力採用+強いオンボーディング+教育の仕組み化」をセットで進めれば、回収期間を半年以上短縮できる可能性もあります。

8. 定着率を上げる会社の共通点

せっかく採用したのにすぐ辞められてしまう

これは多くの企業が抱える悩みです。

しかし、離職率が低い会社には共通する特徴があります。

それは

  • 入社後のフォロー体制
  • 働きやすい環境づくり

がしっかり整っていることです。

① 入社後3ヶ月間は上司が定期面談を実施

入社直後は、仕事の不安や人間関係の悩みが出やすい時期です。

この時期に上司が週1〜月2回程度の面談を行うことで、新人の悩みを早期に発見し、解決できます。

「聞いてくれる環境がある」という安心感が、離職防止に大きく影響します。

② 社内交流を促すイベントやランチ制度

職場の人間関係は、仕事の満足度や定着率に直結します。

部署や世代を超えて交流できるイベント、ランチ補助制度などは、新人が社内に馴染むスピードを加速させます。

特に小規模企業では、こうした取り組みが“家族的な一体感”を生み、居心地の良さにつながります。

③ 評価制度で成長の可視化

成長や努力が数字や評価として見えると、モチベーションが保ちやすくなります。

「頑張っても評価されない」という不満は離職の大きな要因ですが、逆に評価が明確であれば“ここで成長できる”と感じてもらえるのです。

④ 柔軟な働き方の導入(リモート・時短など)

働き方の柔軟性は、特にZ世代や子育て世代の定着率を高めます。

フルリモートでなくても、週1リモートや時差出勤を導入するだけで、ワークライフバランスが改善し、長期勤務の意欲が高まります。

こうした取り組みは単発ではなく、組み合わせて実施することで効果が倍増します。

この会社なら長く働けそう!


と新人が入社後すぐに感じられる環境づくりこそが、採用投資を守る最強の保険なのです。

9. まとめ

採用活動の本当のゴールは、「採用すること」ではありません。

本当に大切なのは、採用した人材が長く活躍し、投資以上の成果を生み出してくれることです。

そのためには、まず採用と育成にかかるコストを正確に把握し、損益分岐点(回収年数)を明確にすることが欠かせません。
これを数値で把握することで、次のような効果が得られます。

  • 無駄な採用を減らせる
    「採ればいい」という採用から脱却し、本当に必要な人材に投資できる。
  • 育成計画が立てやすくなる
    戦力化までの期間を見積もり、必要な教育体制を事前に整えられる。
  • 定着施策の効果が測れる
    回収年数と定着率を組み合わせて分析すれば、離職防止の施策が成果を出しているか検証できる。


次の採用計画を立てる前に、ぜひ一度、「この人材は何年で採用コストを回収できるか?」という視点で計算してみてください。

そうすれば、採用が単なる人員補充ではなく、企業の成長を支える投資戦略へと変わります。

そして、この数字をベースに、即戦力採用・オンボーディング・教育の仕組み化・働きやすい環境づくりを組み合わせれば、採用投資の回収スピードは確実に上がります。

「採用赤字」に悩むのではなく、「採用利益」を積み上げる経営へ──今こそ、その第一歩を踏み出すときです。

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました!

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