管理職研修のやり方|新人管理職が最初に迷わなくなるために必要なこと
結論|新人管理職研修で一番大事なのは「役割の切り替え」を言葉にすること
新人管理職研修というと、
- 何を教えるべきか
- どんなスキルが必要か
から考え始めることが多いと思います。
ただ、実際の研修では、
そこじゃないところでつまずいている
ケースが本当に多いです。
一番大切なのは、
管理職として、何を期待されている立場なのか
を、本人がちゃんと理解できているかどうか。
ここが曖昧なまま進むと、
どれだけ良い研修をしても、現場の動きはあまり変わりません。
管理職研修を任されたけれど、
正直、どこから手をつければいいのかわからなくて。。。
研修担当者の方からの、
こういったお問合せも少なくありません。
新人管理職は、
肩書きだけが先に変わり、
考え方の切り替えが追いつかないまま現場に立っています。
この記事では、
- なぜ新人管理職研修がうまくいかないのか
- 研修で最初に整えておきたいポイント
- 新人管理職が身につけておきたい力
を、できるだけ現場の感覚に近い言葉で整理しまていきます。
なぜ新人管理職研修はうまくいかないのか?

新人管理職研修を考えるとき、
次のような状況になっていないか、
一度振り返ってみてください。
- 研修は一通り実施した
- 内容も決して悪くなかった
- それでも、現場の様子があまり変わらない
この状態になる原因は、
実はそこまで複雑ではありません。
新人管理職本人が、
部下の相談にどう答えればいいのか分からず、
結局、自分で手を動かしてしまう。
そんな状態のまま現場に戻っていることも多いです。
この状態こそ、
「研修はやったのに変わらない」
と感じる理由です。
新人管理職が抱えやすい本音
新人管理職の多くは、こんな感覚を抱えたまま現場に立っています。
今まで通り動くと、
上司から「それは管理職の役割じゃない」と言われる。
でも、じゃあどう関わればいいのか、
何が正解なのかは、はっきりとは教えてもらえない。
管理職という肩書きになったのに、
チームの成果につながっている実感も、正直あまり持てない。
これらは、「やる気がない」からでも、
「能力が足りない」からでもありません。
プレイヤーとして評価されてきた人ほど、
動き方を急に変えられず、戸惑ってしまうのは自然なことです。
研修の場ではあまり表に出ませんが、
この違和感を抱えたまま現場に戻っている人は、
実際には少なくない印象です。
管理職の仕事は「自分が頑張ること」ではない

新人管理職研修で、
最初にちゃんと整理しておきたいのが、
プレイヤーと管理職の決定的な違いです。
| プレイヤー | プレイヤー |
|---|---|
| 自分の成果が評価される | チームの成果が評価される |
| 正解を出す役割 | 判断の基準を示す役割 |
| 自分で動く | 人に任せる |
| ミスを避ける | ミスから学ばせる |
この表を見ると当たり前に感じますが、
頭では分かっていても、行動が切り替わらない人がほとんどです
この整理をしないまま、
- コーチング
- フィードバック
- マネジメント理論
を教えても、
「いい話だった」で終わってしまうことが多いです。
研修担当者としてまずやりたいのは、
管理職になったから、頑張り方も少し変わるんだよ!
と新人管理職に伝えることです。
新人管理職研修で最初に扱うべき3つのテーマ

新人管理職研修というと、
どうしても「何を教えるか」から考えがちです。
ただ、実際に現場を見てみると、
研修内容そのものより、最初の設計でつまずいている
ケースが目につきます。
正直なところ、
次の3つをスキルより前に整えておくだけで、
研修後の手応えはかなり変わる印象があります。
①「管理職として、何を期待しているのか」を言葉にして伝える
まず研修担当者が整理したいのは、
- 管理職に何を求めているのか
- 会社として、どんな役割を期待しているのか
この部分です。
「部下を育てる」「チームをまとめる」
方向としては間違っていません。
ただ実際には、
その言葉だけで動ける新人管理職は、ほとんどいません。
たとえば研修後、現場に戻って――
育成って言われたけど、今日のこの場面では何をすればいいんだろう・・・
と、立ち止まってしまうケースはよくあります。
そこで、行動レベルまで落とします。
よくある具体例
- 朝か夕方に、1日1回は部下の進捗を聞く
- 判断に迷っている様子があれば、結論より先に「目的は何だっけ?」と一緒に整理する
- すぐ答えを言わず、「どう考えてる?」と選択肢を出してもらう
研修の中で、
管理職として、一番時間を使うべき仕事は何か
を一度書き出してもらうだけでも、
場の空気が少し変わります。
正解を教えなくても大丈夫です。
考える時間そのものが、役割の切り替えにつながることも多いです。
②「やらなくていいこと」をはっきりさせる
新人管理職は、
評価された立場だからこそ、
手を抜けず、つい全部やろうとしてしまうことが多いです。
だからこそ、
- 部下の資料を全部チェックする
- 細かいところまで口を出す
- 判断を先回りして答えてしまう
こうした動きが重なりがちです。
本人は「ちゃんとやっているつもり」なのに、
気づくと毎日バタバタして、どっと疲れている。
そんな状態になりやすいです。
ここで研修として共有しておきたいのが、
管理職だから、ここまではやらなくていい
という線引きです。
たとえば、
- 最終確認だけすればいい仕事
- 任せて見守る仕事
- 失敗しても止めなくていい仕事
この境目を言葉にしておくだけで、
新人管理職の気持ちはかなり楽になります。
正直、この整理があるかないかで、
研修後の消耗度は大きく変わります。
③「失敗していい範囲」をあらかじめ共有する
管理職になると、
一つの判断がチーム全体に影響する場面が増え、
決めること自体に慎重になる人もいます。
- 決断を先延ばしにする
- 無難な選択ばかりになる
- すぐ上司に確認したくなる
実際には、
能力の問題というより、
失敗してはいけない…
という思い込みが強く働いていることが多いです。
研修では、
- 取り返しがつく失敗
- 絶対に避けたい失敗
この2つを、あらかじめ言葉にしておきます。
たとえば、
- 社内で止まるミスならOK
- お客さんに直接影響が出る判断は相談する
ここまで共有できていると、
現場での動きが少しずつ変わります。
「ここまでは自分で決めていいんだな」
そう思えるだけで、
新人管理職はかなり動きやすくなります。
新人管理職が身につけておきたい「5つの力」

新人管理職研修というと、
どうしても「どんなスキルを教えるか」に目が向きがちです。
ただ実際には、
難しいスキルが足りなくて困っている場面というのは、実際そこまで多くありません。
多いのは、
- その場でどう振る舞えばいいか分からない
- 判断に迷って手が止まる
そんな瞬間です。
ここからは、新人管理職研修で
優先して扱っておきたい5つの力
を整理します。
どれも専門的な話ではなく、
現場でよくある場面をどう乗り切るかという視点になります。
①「すぐ答えを言いたくなる」を一度止める力
新人管理職ほど、
部下から相談されると、つい答えを言いたくなります。
特に、
「今すぐ決めないといけない」と感じる場面では、
思わず口を出してしまうことも少なくありません。
- 自分がやったほうが早い気がする
- ここで間違えさせるのは不安
正直、この気持ちはとても自然だと思います。
ただ実際には、
毎回答えを言ってしまうと、
部下は「考える前に聞けばいい」と学習してしまいます。
よくあるのが、
- 部下が相談に来る
- すぐ正解を伝える
- 次も同じ相談が来る
という流れです。
研修では、
- すぐ答えを言わない
- 「どう考えてる?」と質問で返す
- 選択肢をいくつか出してもらう
この関わり方を、
軽くロールプレイで体験してもらうだけでも十分です。
完璧にできなくても大丈夫です。
「一拍置く」感覚を知ってもらうだけで、現場は少し変わります!
②「結局、何をすればいいの?」を残さない力
部下が動かない理由は、
能力の問題ではないことがほとんどです。
実際によくあるのが、
- なぜこの仕事をやるのか
- どこまでできればOKなのか
この2点が、
はっきりしないまま仕事が渡っているケースです。
部下の側からすると、
頑張っているつもりだけど、合っているか分からない…
という状態になります。
新人管理職には、
- この仕事のゴールは何か
- 今日はどこまで進めば十分か
を、言葉にして伝える力が必要です。
難しい説明はいりません。
一言添えるだけで動きやすくなる場面は、実際かなり多いです。
③ 話を聞くだけで終わらせない力
いわゆる「傾聴スキル」みたいなものを、
無理に身につける必要はありません。
新人管理職にまず身につけてほしいのは、
- 話を要約する
- 論点を整理して返す
この2つです。
例えば、部下が相談に来て、
どう進めるかで迷っている様子だったとします。
そこで、
今の話をまとめると、
AとBで迷っている、ということだよね?
こう答えるだけでも、
部下の反応はかなり変わります。
正直、
「ちゃんと聞いてもらえた」と感じるだけで、
気持ちが落ち着く部下も多いです。
④「あとで後悔する怒り方」を減らす力
管理職になると、
分かっているのに、ちょっと強く言いすぎた
そんな経験をする人が増えます。
感情が出やすいのは、
- 余裕がないとき
- 期待している部下のミス
- 同じことを何度も言っている場面
このあたりが多い印象です。
研修では、
- どんな場面で感情が出やすいか
- そのとき、どう対応するか
を事前に考えておくだけでも違います。
完璧に抑える必要はありません。
「次はこうしよう」と思える準備があるかどうかです。
⑤ 一人で抱え込まない力
意外かもしれませんが、
新人管理職にとって大事なのは、
迷ったときに、自分の上司に相談できる状態をつくっておくことです。
よくあるのが、
自分で決めなきゃいけない気がして、
でも間違えたくなくて、動けなくなる
という状態です。
研修では、
- どこまで自分で判断していいか
- どのタイミングで上司に相談するか
この線を共有しておきます。
ここが整理されているだけで、
新人管理職はかなり動きやすくなります。
管理職研修を「一度きり」で終わらせない工夫

管理職研修は、
当日が一番盛り上がります。
ただ実際には、
その熱がどれくらい残るかは、研修後の動き次第です。
研修担当者としても、
いい研修だったはずなのに、
数週間すると何も話題に上らなくなる
そんな経験があるかもしれません。
ここでは、
無理なく続けられて、実際に差が出やすい3つのフォローを紹介します!
①「全部やろう」としない
研修が終わった直後は、
- あれもやらなきゃ!
- これも意識しなきゃ!
と、やる気が高まりがちです。
しかし残念ながら、
ほとんどはこのモチベーションが続きません。
よくあるのが、
- 最初の1週間だけ頑張る
- 気づいたら元に戻っている
という流れです。
そこで研修後に決めたいのは、
明日から意識することを、1つだけにする!
たとえば、
- 今日は一度、部下に「どう考えてる?」と聞いてみる
- 夕方に5分だけ、進捗を聞く時間を作る
それくらいで十分です。
「これだけでいいのかな」と感じるくらいが、
実際にはちょうどいいことも多いです。
②「研修の話」を現場に持ち帰る
新人管理職が研修を受けても、
上司がその内容を知らないままだと、
- それ、前と同じだよね
- なんでそうしたの?
と、すれ違いが起きやすくなります。
逆に新人管理職の上司が、
- 研修で何を学んだか
- これから何を意識しようとしているか
を知っているだけで、
現場での声かけは変わります。
たとえば、
研修で話してたやつ、試してる?
そこ、無理しなくていいよ
こんな一言が上司から出るだけでも、
新人管理職はかなり動きやすくなります。
研修後に
一言でも共有されているかどうかは、
思っている以上に大きな差になります。
③「うまくいかなかった話」をする場を残す
研修後の振り返りというと、
- 研修で決めた行動を、実際に試せたか
- 成果につながったか
を確認する場になりがちです。
ただ実際には、
うまくいかなかった話のほうが、次につながることも多いです。
1か月後、3か月後に、
- やってみてよかったこと
- 正直、難しかったこと
を言葉にする時間を少しだけ作ります。
雑談に近い形で、
例えばミーティングの最後に5分など、
形式ばった場でなくても大丈夫です。
それくらいの温度感で十分です。
「うまくできなかった」と言える場があるだけで、
新人管理職は次の一歩を踏み出しやすくなります。
まとめ|新人管理職研修は「覚えさせる場」ではない
新人管理職研修の目的は、
- 知識を増やすこと
- 立派な管理職に見せること
ではありません。
- 役割を理解する
- 行動を少し変える
- 迷ったときの判断軸を持つ
この状態を作ることです。
完璧な研修を作ろうとしなくても大丈夫。
実際にやってみると、
「思ったより難しいな」と感じる場面も必ず出てきます。
それでも、
新人管理職が少し迷いにくくなる設計になっていれば、
研修としての役割は十分果たせています。
管理職研修は、
正解を教える場というより、
「これでいいのかな」と立ち止まる回数を減らす場なのかもしれません。
研修内容を一度、整理してみませんか?

研修内容を整理するところから、一緒に考えるお手伝いもしています。
- 何を教えるか
- どこまでやるか
- どう進めるか
研修を考える中で、
ここが曖昧なまま進んでしまうケースはとても多いです。
その結果、
- 「伝えたつもりだった」
- 「現場で行動が変わらなかった」
という声もよく聞きます。
まずは、今の研修内容や悩みを言葉にして整理するところからで大丈夫です。
まだ具体的に決まっていなくても問題ありません。
この研修、どう組み立てればいいんだろう?
そう感じたタイミングが、見直しを始めるベストなタイミングです。
お気軽にご相談ください。