OJT担当者向け|新人を潰さない教え方マニュアル【現場でよくある失敗とは】
結論|新人は「甘やかされて」潰れるのではない。「不安なまま」潰れていく
OJTで新人が潰れてしまう一番の原因は、
能力不足でも、根性不足でもありません。
「何が正解かわからない状態」が続くこと
です。
- 何をどこまでできればいいのか分からない
- 合っているか間違っているか判断できない
- 聞いていいタイミングが分からない
この状態が続くと、新人は必ず消耗します。
そして、ある日ふっと限界を迎えてしまうんです。
OJT担当者がやるべきことは、
教えることそのものより、「不安を減らす設計」を作ることです。
この記事では、
新人を潰さないOJTの考え方と、
明日からできる具体策を整理します!
なぜOJTで新人は潰れてしまうのか

最近の新人はメンタルが弱いから、
ちょっと注意すると落ち込むんだよな…
そう感じる場面は、正直あると思います。
ただ、OJTがうまくいかない職場を見ていくと、
新人が限界を迎える前に、
ある“共通パターン”が見えてきます。
新人が潰れる職場で起きがちな状況
- 教える人によって言うことが違う
- 一度で覚える前提で説明される
- 忙しい空気が強く、質問しづらい
- できていない点だけが目につく
どれも、教える側に悪意はありません。
むしろ「ちゃんと育てたい」という気持ちから起きています。
ただ、新人側から見ると話は別になってしまいます。
新人の頭の中では、何が起きているか
新人は、常に頭の中で考えています。
- 今のやり方で合っているだろうか
- これを聞いたら迷惑だろうか
- できない人だと思われていないだろうか
この状態で仕事をすると、
学習よりも「自己防衛」にエネルギーを使います。
結果として、
- 覚えが悪くなる
- 動きが遅くなる
- ミスが増える
そして、
「やっぱり向いていないのかもしれない」と自分を責め始めてしまいます。
OJT担当者がやりがちなNG行動

ここからは少し耳が痛い話になるかもしれません。
ただ、どれも本当によくある話です。
ここでは3つのNG行動を見ていきましょう!
NG①「見て覚えて」
これは一番多いパターンです。
- 最初は先輩がやってみせる
- あとは横で見せる
- 「さっきの感じでやってみて」
このパターンが出てしまうのは、
先輩自身が、同じやり方で仕事を覚えてきた場合が多いからです。
当時は、
- 先輩の動きを見て
- 何となく流れをつかんで
- 失敗しながら覚える
そんな環境だった、という人も少なくありません。
ただ、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
そのやり方で、当時の同期全員が仕事を覚えられていたでしょうか。
実際には、
- ついていけずに辞めた人
- 配置換えになった人
- 途中で評価が下がってしまった人
そういう人がいたはずです。
それでも、
「自分はそれでできてしまった」。
だからこそ、
無意識のうちに、同じ教え方を新人にもしてしまいます。
しかし、新人からすると、
何を見ればいいのか分かりません。
- 手順なのか
- 判断基準なのか
- 注意点なのか
すべてが整理されないまま、
一度に目の前を通り過ぎていきます。
NG② ミスが起きてから指摘する
ミスが起きたあとに、
はじめて声をかけるケースです。
- 「それ、前も言ったよね」
- 「なんで確認しなかったの?」
指摘している内容自体は、
間違っているわけではありません。
問題は、
その判断基準が、事前に共有されていないこと
です。
この対応が起きやすい背景には、
先輩側の事情もあります。
先輩は、
- どこで確認すべきか
- どこは自己判断でいいか
- どこからが危険か
こうした感覚を、
経験の中で自然に身につけています。
だから、
ここは確認するのが当たり前だろ。。。
と、無意識に思ってしまいます。
ただ、新人からすると、
- どこまでが注意点なのか
- 何を基準に判断すればいいのか
その線引きが見えていません。
結果として、
ミスが起きてから指摘されるたびに、
不安だけが積み重なっていきます。
NG③ 完璧を求める
OJTが始まってしばらくすると、
先輩の中で、少しずつ期待値が上がっていきます。
- そろそろ一人でできるはず
- 前よりは慣れてきているはず
こうした感覚自体は、
決して悪いものではありません。
ただ、この期待がそのまま表に出ると、
新人にとっては大きな負担になります。
なぜなら、新人は、
- 仕事の手順
- 職場ごとのルール
- 専門用語
- 人間関係
こんなにもたくさんのことを
同時に処理している最中だからです。
先輩にとっては
「もうできていて当たり前」の作業でも、
新人にとっては
「やっと全体が見え始めた段階」ということも少なくありません。
それでも、
期待されている。。。
だからできていないと思われたくない。。。
そんな気持ちが先に立ち、
分からないことを聞けなくなってしまいます。
そして結果として、
- ミスを隠す
- 判断を一人で抱え込む
- 動きが遅くなる
という悪循環に入りやすくなります。
完璧を求めたつもりはなくても、
新人には「失敗できない空気」として伝わってしまうのです。
新人を潰さないOJTの基本設計

NGパターンを見ると、
「じゃあ、もう何も言えなくなる」
そう思う方もいるかもしれません。
ただ、安心してください。
新人を潰さないOJTは、
何か特別なスキルが必要なわけではありません。
教え方を大きく変えるより、
教える前の“考え方”を少し整えるだけ
で、現場の空気は驚くほど変わります。
ここからは、
忙しい現場でも無理なく続けられる
OJTの基本設計を整理します。
ポイント① ゴールを「小さく」区切る
OJTで一番大事なのは、
「今日はここまででOK」を明確にすることです。
例として、
- 電話対応を全部覚える → ✕
- 今日は取次ぎだけできればOK → ○
ゴールを小さく区切るだけで、
新人の反応ははっきり変わります。
今日はここまでできればOKだ!
こう言われるだけで、
新人は迷わず動けるようになります。
できたことが分かると、
「自分にもできた」という感覚が残ります。
この積み重ねが、
次もやってみよう、という気持ちにつながります。
ポイント② 判断基準を言葉にする
新人が一番困るのは、
「自分の判断でいいのか分からない瞬間」です。
そこで必要なのが、判断の物差しです。
判断基準は、
難しく考える必要はありません。
たとえば、
- 相手に迷惑がかかりそうなときは確認
- いつも通りの作業なら、まずはやってみる
- 少しでも引っかかったら、その場で聞く
このくらいの目安があるだけで、
新人は動きやすくなります。
正解を増やすより、
迷っていい範囲を決めることが大切です。
ポイント③ 教える量は「7割」で止める
新人に仕事を教えるとき、
つい「あとで困らないように」と思って、
細かいことまで一気に伝えたくなりますよね。
ただ、新人の立場で考えると、
- まずは何をすればいいのか
- どこまでできれば合格なのか
この2つが分からない状態で、
細かい注意点を聞いても、頭に残りません。
そこで意識したいのが、
最初は「最低限これだけ」という範囲に絞ること
です。
たとえば、
- 最初は手順だけ伝える
- 判断が必要な場面は、あとで補足する
- よくある例外や細かいコツは、慣れてから話す
こうして段階を分けると、
新人は混乱せずに動けるようになります。
全部を一度に教えなくても、
仕事は回ります。
むしろ、
必要になったタイミングで教えたほうが、定着します。
今日から使えるOJTフレーズ集

言い方を少し変えるだけで、
新人の安心感は大きく変わります。
ここでは、
- 不安を減らす一言
- 質問しやすくする一言
- ミスを指摘するときの一言
をお伝えしておきます。
不安を減らす一言
- 「最初は分からなくて普通だよ」
- 「今は完璧じゃなくて大丈夫」
- 「ここまではできてるよ」
なぜこのような言葉をかけるのがいいのか
新人は、仕事そのものよりも
「できていない自分をどう思われているか」に強い不安を感じています。
この一言があるだけで、
- いまは学ぶ段階だと分かる
- 評価の目線が一旦外れる
- 失敗しても立て直せると思える
ようになります。
不安が下がると、
新人は守りに入らず、行動に集中できるようになります。
質問しやすくする一言
- 「あとで聞くより、今聞いていいよ」
- 「途中で止めても大丈夫」
- 「同じ質問、何回してもいいからね」
なぜこのような言葉をかけるのがいいのか
新人が質問をため込む理由は、
分からないからではありません。
- 忙しそう
- 邪魔になる気がする
- 評価が下がりそう
こうした空気への遠慮です。
質問を歓迎する言葉を先にかけておくと、
- 聞くタイミングを探さなくて済む
- 「迷ったまま進む」ことが減る
- ミスが早い段階で防げる
といったように結果として、
OJT担当者の手戻りも減っていきます。
ミスを指摘するときの一言
- 「ここは次から一緒に気をつけよう」
- 「判断が難しかったと思う」
- 「このケースは迷いやすいね」
なぜこのような言葉をかけるのがいいのか
ミスを指摘された瞬間、
新人の頭の中では、
責められている=もう信用されていない
という感情が先に立ちます。
そこで、
行動と人格を切り分ける言葉を添えることで、
- 萎縮せずに話を聞ける
- 次の行動に意識が向く
- 同じミスを報告しやすくなる
といった状態を作れます。
ミスを責めない空気は、
ミスを減らすための準備でもあります。
「向いていない新人」だと判断する前に

新人を教えていると早い段階で、
- 覚えが悪い
- 動きが遅い
そう感じることもあると思います。
ただ、その前に一度だけ確認してほしいことがあります。
まずは、
教え方が現場で統一されているかどうか。
- 人によって指示や正解が変わっていないか
- 「前はこう言われた」という混乱を生んでいないか
- 決まりごとが、言葉として共有されているか
次に、ゴールが共有されているかです。
- 今日は何ができれば合格なのか
- どこまで求められているのか
- 何がまだできなくても問題ないのか
これが曖昧だと、
新人は常に「足りていない気がする」状態になります。
そして最後に、
安心して失敗できる空気があるかを見直します。
- ミスをすると、まず注意や叱責が出ていないか
- 報告した人ほど損をする雰囲気になっていないか
- 「早めに言ってくれて助かった」と伝えられているか
この3つが整ってはじめて、
新人は本来の力を出せる状態になります。
その上で初めて、
仕事の向き不向きや適性が見えてきます。
まとめ|OJTは「教える技術」より「不安を減らす設計」
新人を潰さないOJTで大切なのは、
- 厳しさ
- 根性論
- 教える量
ではありません。
安心して学べる環境を用意することです。
- ゴールを小さくする
- 判断基準を言葉にする
- 完璧を求めすぎない
この3つを意識するだけで、
OJTの空気は確実に変わります。
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