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研修後の行動定着を仕組みで作る方法|チェックシートとフォロー施策の実例

    
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研修後の行動定着を仕組みで作る方法|チェックシートとフォロー施策の実例

結論|行動定着は「仕組み」で決まる

まず結論からお伝えします!

研修後に行動が定着するかどうかは、

受講者の意識ではなく“仕組み”

で決まります。

  • やる気に期待する
  • 自主性に任せる
  • 忘れないことを祈る

このやり方では、ほぼ確実といっていいでしょう。

行動は消えます!一方で、

  • 何を
  • いつ
  • どう確認されるか

この3点が決まっている研修は、自然と行動が続きます。

この記事では

  • チェックシート
  • フォロー施策

を使って、行動が残る仕組みの作り方を具体例つきで解説します。

この記事を読めば研修後、何をすればいいか迷わなくなります
チェックシートとフォローの具体例を、そのまま使える形でまとめました。


なぜ研修は「やりっぱなし」で終わるのか?

研修の最後にアンケートを取って

今日の内容を現場で活かしてください!

と伝えて解散。

翌日からは通常業務に戻り、研修の話題は少しずつ出なくなっていきます。

このパターンは、珍しい話ではありません。


研修内容が悪いわけではない

  • 研修内容(説明)は分かりやすかった。
  • その場では、受講者も納得していた。
  • アンケートの評価も悪くなかった。

それでも、数日後には行動が元に戻ってしまう。

理由は、とてもシンプルです。それは――

「研修後に何をすればいいか」が決まっていない

からです。

  • 次に何をやるのか。
  • いつやるのか。
  • できたかどうかを、どう確認するのか。

ここが決まっていない研修は、
どうしても「やりっぱなし」で終わってしまいます。


行動定着を作る3ステップ全体像

研修後フォローと聞くと、

  • 「やることが多そう」
  • 「正解がわからない」

と感じがち…

でも実は、考えるポイントは3つだけです。


行動定着の基本構造

研修後の行動が続く現場は、次の流れがきちんと決まっています。

  • 行動を具体化する
  • チェックできる形にする
  • 忘れさせない仕掛けを入れる

研修後フォローは、この3つに分けて考えるだけで一気に整理しやすくなります。


ステップ①|「行動」を具体化する

ここが一番つまずきやすいポイントです。

研修では、行動を決めたつもりでも、後から判断できない表現を使ってしまうことがあります。

そこで一度、「それが本当にできたかどうか、後から判断できるか?」を考えてみてください。


「意識」や「理解」は行動ではない

研修の最後や、研修資料の目標欄で、こんな表現を見かけることがあります。

× よくあるNG例

  • 意識を高める
  • 理解を深める
  • 気をつける

しかし、このような表現を使った研修研翌日。

上司や研修担当者が現場を見に行っても、

  • 何が変わったのか
  • 研修内容が実行されているのか

これらを、見て判断することができません。


行動は「見て分かる」レベルまで落とす

研修後に「現場では、これをやる」と決めるときは、
次のような形が理想です。

行動として成立する例

朝礼で、研修で学んだポイントを1日1回復唱する
作業を始める前に、チェック項目を必ず確認する
ミスが出たら、その場でチームに共有する

ここまで具体的になると、

  • その行動をやったかどうか
  • 続いているかどうか

を、上司や研修担当者が見て判断できます。

そのため、次のチェックやフォローにも自然につなげやすくなります。


ステップ②|行動チェックシートを作る

ここで大事なのは、「やる気」に期待しないことです。

人は忙しくなると、研修で学んだことを、どうしても忘れてしまいます。

そこで使うのが、行動チェックシートです。


チェックシートの役割

行動チェックシートは、管理や監視のためのものではありません。

目的は、とてもシンプル。

  • その日の行動を思い出すこと
  • 自分で振り返るきっかけを作ること


行動チェックシートの基本構成

難しくしないのが続くコツ!!

フォーマットは、シンプルで十分です。

たとえば、研修後1週間使うチェックシートなら、次の項目だけあれば足ります。

例:研修後1週間用チェックシート

  • 今日、意識した行動は何か
  • 実際にできたか
  • できなかった理由
  • 明日はどうするか

これ以上増やすと、「書くのが面倒」になりやすくなります。


なぜ「毎日」書いてもらうのか?

「毎日書くのは大変そう」と感じるかもしれません。

でも、「毎日書いてもらう」にはきちんと理由があります。

忘れる前に、その日の行動を思い出せる
行動を意識し続けるきっかけになる
小さなつまずきに、その場で気づける

なかでも一番大きいのが、小さなつまずきを、そのまま流してしまうことです。

1か月も経つと、つまずいた原因は思い出しにくくなります。

しかし、その日のうちに書いておけば、

  • 「なぜできなかったのか」
  • 「どこでつまずいたのか」

が、言葉として残り、次にどう直せばいいかを考える材料になります。


ステップ③|フォロー施策を入れる

チェックシートだけでは、だんだん形だけになりがちになってしまいます。

しかし、ここに「見られている感」が加わると、行動は一気に続きやすくなります。


フォロー施策①|上司への共有

研修後フォローは、研修担当者ひとりで背負う必要はありません。

上司が関わるだけで、効果は大きく変わります。

なぜ上司が重要なのかというと

  • 日常的に部下の行動を見ている
  • ちょっとした声かけができる
  • 行動を評価につなげやすい

研修内容をA4一枚にまとめて上司に共有するだけでも十分ですので、上司との共有は必ず行いましょう!


フォロー施策②|短い振り返りミーティング

振り返りミーティングといっても長い会議は必要ありません。

週1回の10分のミーティングで十分です。

10分程度であれば立ったままでもサクッとで来てしまいます。

話す内容は、この3つだけ。

  • できたこと
  • できなかったこと
  • 次にやること

これだけで、「研修はもう終わった」という空気を防げます。


フォロー施策③|1カ月後の再チェック

多くの研修が、この1カ月後の再チェックをやっていません。

研修後1週間であれば、まだ内容を覚えているでしょう。

しかし、1カ月後はよほど意識高く働いている社員以外はほぼ忘れています。

だからこそ、

1か月後に、同じチェック項目をもう一度見る。

それだけで、行動の定着率は大きく変わります。


行動定着がうまくいく現場の共通点

うまくいく現場には、いくつかの共通した特徴があります

ここでは――

実際に行動が続いている現場でよく見られるポイント

を整理します。

特別な仕組みを入れているわけではありません。

ちょっとした工夫の差で行動定着がうまくいくのです。


うまくいく現場

まずうまくいく現場は、行動が1〜3個に絞られています。

例えば――

  • 今日は何を意識すればいいか
  • どこを見ればいいか

このように「これだけやろう」という行動が、とてもシンプルで迷わずわかりやすいです。

これくらいなら行動が少ない分、
研修で決めた行動を毎日続けることに集中できます!


チェックが簡単

チェックのやり方も、難しくありません。

  • ○・△・×をつけるだけ
  • 一言メモを書く程度

これくらいが「ちゃんと書こう!」と気負わなくていいので、自然と習慣になります。


上司が内容を知っている

うまくいく現場では、
研修の内容やチェック項目を、上司も把握しています。

  • 「最近どう?」と声をかけられる
  • 行動ができていると、すぐ気づいてもらえる

この上司が部下に対してのちょっとした関心が、行動を続ける後押しになります。


うまくいかない現場

うまくいかない現場はとにかく「行動が多すぎる」という問題があります。

あれもこれも大事、となると、結局どれも続きません。

例えば、書くことが多い――

  • 項目が多い
  • 書く欄が細かい
  • 毎回しっかり書かないといけない

こうなると、チェックシート自体が負担になります。

そして、書くことが多くなると、覚えることも多くなってしまい、結果として

最初は頑張っても、だんだん手が止まっていってしまうんです。


研修担当者しか内容を知らない

この前にもお伝えしましたが、研修担当者だけが内容を把握していて、現場の上司や周りはよく知らない。

この状態だと、

  • 誰にも見られていない
  • 話題にもならない

結果として、行動は自然と薄れていきます。


ポイントは「続けやすさ」

ここまでを見ると、違いはとてもシンプルです。

完璧にやろうとする現場ほど、続きません。

  • 行動は少なく
  • チェックは簡単に
  • 周りも少し関わる

このくらいが、ちょうどいいんです。

行動定着で一番大切なのは、「正しさ」よりも「続けやすさ」です


チェックシートは「完璧」を目指さない

まずはチェックシートを“使い始める”ことを優先しましょう。

チェックシートを作ろうとすると、こんな不安が出てきがちです。

ちゃんとしたフォーマットを作らないとダメですか?

答え|最初は雑でOK

結論から言うと、
最初から整った形である必要はありません。

むしろ、きれいに整いすぎると、
書くハードルが上がってしまい、続かなくなってしまいます。


形は問いません

チェックシートは、使えるなら何でもOKです。

「今すぐ使えるか」が大事です。

例えば――

  • ノートに手書きでメモする
  • Excelで簡単な表を作る
  • Googleフォームで○×を選ぶ


なぜ「雑」でいいのか

理由はシンプルです。

  • 完璧を目指すと、作るのに時間がかかる
  • 作っているうちに、使うタイミングを逃す
  • 現場から「面倒そう」と思われやすい

結果として、チェックシート自体が使われなくなります。

作る側は良かれと思って整えても、

時間がかかってしまい、使う側には書くプレッシャーを与えてしまいます。


大事なのは「使われること」

チェックシートの役割は、きれいに残すことではありません。

  • 行動を思い出す
  • 振り返るきっかけを作る

この役割を果たせていれば、形は何でもOKです。


まずは、続く形で始める

最初は、

  • 項目は少なく
  • 書く量も少なく
  • 修正しながら使う

このくらいで十分です。

使ってみてから直す。

これが、チェックシートを定着させる一番の近道です!


まとめ|行動定着は再現できる

研修は、当日が終われば完了ではありません。

本当のスタートは、研修が終わった後にあります。

  • 行動は具体化する
  • チェックシートで思い出させる
  • フォローで続けさせる

この3点が揃えば、研修は「やって終わり」から「行動が残る研修」に変わります。

研修後フォローは、オマケではありません。

行動を定着させるための、大切な研修の一部です。



研修内容を一度、整理してみませんか?

研修内容を整理するところから、一緒に考えるお手伝いもしています。

  • 何を教えるか
  • どこまでやるか
  • どう進めるか

研修を考える中で、
ここが曖昧なまま進んでしまうケースはとても多いです。

その結果、

  • 「伝えたつもりだった」
  • 「現場で行動が変わらなかった」

という声もよく聞きます。

まずは、今の研修内容や悩みを言葉にして整理するところからで大丈夫です。

まだ具体的に決まっていなくても問題ありません。

この研修、どう組み立てればいいんだろう?

そう感じたタイミングが、見直しを始めるベストなタイミングです。

お気軽にご相談ください。

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