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マネジメント研修の作り方|中小企業で失敗しない設計手順

  
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マネジメント研修の作り方|中小企業で失敗しない設計手順
目次

結論|マネジメント研修は「目的→行動→現場フォロー」の順で作るとうまくいく

マネジメント研修づくりで一番多い失敗は、
内容から考え始めることです。

先に決めるべきは「研修後、どんな行動が増えてほしいか」。

そこから逆算して

  • テーマ
  • 構成
  • ワーク
  • フォロー

を組み立てると、
研修の内容が、現場でちゃんと使われるようになります。

この記事では、

  • 研修担当者が迷わないための考え方の順番
  • 初担当でも失敗しにくい具体的な作り方
  • 「やっただけ」で終わらせない定着の工夫

を、できるだけ現場の感覚に近い言葉で、
ひとつずつ整理していきます。


なぜマネジメント研修は難しく感じるのか

まず前提を整理すると、
マネジメント研修が難しく感じてしまう理由は、能力の問題ではありません。

マネジメント研修が難しくなるのは、

  • マネジメントの範囲が広すぎる
  • 正解がひとつではない
  • 成果がすぐに数字で見えにくい

主にこのような理由があります。

こうした状態で研修を考え始めると、
どこから手をつければいいのか分からなくなります。


順番さえ決まれば、研修づくりは少し楽になります!


ステップ①|研修の「ゴール」を先に決める

なぜ先にゴールを決めるのか、、、それは

ゴールが曖昧な研修は、内容をどれだけ良くしても効果が出ない

からです。

ここでいうゴールは、

  • 研修内容を理解したか
  • 知識として頭に入ったか

ではありません。


ゴールは「行動」で決める

では良いゴールの例を出してみましょう。

  • 部下との1on1で、週1回は「業務以外の話」を聞く
    →部下が本音を話しやすくなり、相談が早く出てくる
  • 指示を出す前に、「なぜ今それをやるのか」を一言添える
    →なぜその作業が必要かが伝わり、納得して動いてもらえる
  • トラブルが起きたら、感情より事実を整理してから話す
    →責め合いにならず、次の対応に話を進められる

このように、研修後に現場で見える行動まで落とすことで、
研修づくりの軸がブレにくくなります。


ゴール設定のチェックポイント

ゴールを考えるとき、
つい立派な目標を置きたくなります。

でも実際には、ここで無理をしすぎないことのほうが大切です。

  • 明日から実行できそうか
  • 上司や周囲が見て分かるか
  • 完璧を求めすぎていないか


ステップ②|受講者の「今の状態」を整理する

ゴールが決まったら、
次にやるのは現状把握です。

正直ここをすっ飛ばしたくなるのですが、
ここを外すと、研修はかなりの確率で空回りしてしまいます。


よくあるズレ(たぶん、どの職場にもあります)

  • 管理職になったばかりで、マネジメントは手探り状態
  • プレイヤーとしては、ずっと評価されてきた
  • 人に任せるより、自分でやったほうが早いと感じている

こういう状態、実際によくあります。

この前提を置かずに、
研修でいきなり「理想の管理職像」の話から始まると、
行動が変わらないことのほうが多いです。


現状整理で、まず見ておきたいポイント

こで研修担当者が意識したいのは、
スキルチェックよりも、現場で立ち止まってしまう瞬間です。

たとえば、

  • 部下に声をかけようとして、結局あと回しにしてしまう
  • 注意したほうがいいと分かっていても、言い出せない
  • 任せたほうがいいと思いながら、自分で抱え込んでしまう

こうした「一瞬の迷い」や「ためらい」が、
実際のマネジメントを難しくしています。

完璧に言語化できなくても構いません。
まずは「思い当たる場面」があるかどうかを見るだけで十分です。


実際によく出てくる「本音」

下記の例はどれも、
「ダメな管理職」だから出てくる話ではありません。

  • 注意したら、関係が悪くなりそうで言えない
  • 忙しすぎて、部下を見る余裕がない
  • 正直、自分がやったほうが早いと思ってしまう

むしろ、真面目にやろうとしている人ほど出やすい本音です。

このあたりの空気を無視して研修を組むと、
内容は正しくても、
「現場では使われない研修」になりがちです。

だからこそ、
この「本音」を前提にしたところから、
研修の設計を始めます。


ステップ③|テーマは「欲張らず1〜2個」に絞る

研修テーマを考えていると、

  • あれも必要かも
  • これも外せない気がする

と、どんどん増えていきがちです。

実際にテーマを詰め込みすぎると起きがちなことが、
こんな状態です。

話した内容は多かったはずなのに、
終わってみると、何が一番大事だったのか残っていない

研修直後は「なるほど」と言っていたのに、
数日後には、ほとんど覚えていない

結局、現場の動きは何も変わらないまま

この状態、、、正直かなり多いです。

しかし、研修自体が悪いわけではありません。

研修テーマが多すぎただけ
というケースがほとんどです。


テーマは「悩みのど真ん中」から決める

テーマ選びで迷ったら、
あれこれ考えるより、
ゴールと今の状態を並べて見るのが一番早いです。

ここでは、例を出して
ゴールと今の状態を並べて見てみましょう。


よくある現場の例

ここでは、例を出して
ゴールと今の状態を並べて見てみましょう。


よくある現場の例①

今の状態
部下に仕事を任せたいと思っているのに、
結局いつも自分で抱え込んでしまう

研修後に増やしたい行動(ゴール)
部下に仕事を振るとき、
何をどこまで任せるかを言葉で伝えられる

→ テーマ:任せ方・指示の出し方


よくある現場の例②

今の状態
声をかけるたびに空気が微妙になって、
だんだん話しかけづらくなっている

研修後に増やしたい行動(ゴール)
用件だけでなく、
相手の受け取り方を意識して声をかけられる

→ テーマ:伝え方・関わり方


よくある現場の例③

今の状態
トラブルが起きるたびに対応がバラバラで、
あとから「誰が何を決めたのか」分からなくなる

研修後に増やしたい行動(ゴール)
トラブル時に、
事実・判断・次の対応を整理して共有できる

→ テーマ:判断の軸・報連相


このように、
ゴールと今の状態を並べて見てみる
今つまずいているところが、そのまま研修テーマになります。


「今回はこれだけ」と決める勇気

正直、
全部を一度の研修で変えるのは無理です。

でも、

今回は、ここだけ変わればいい

と決められた研修は、
終わったあとに現場で使われます。

テーマを絞るのは、手抜きではありません。

成果を出すための選択なんです。


ステップ④|インプットは最小限にする

マネジメント研修で、よくある勘違い…それは…

ちゃんと教えないと、伝わらない!

という考え。
この気持ち、かなり分かります。

実際、研修担当者ほど真面目に考えています。

でもこの意識が強くなりすぎると、
気づかないうちに、説明がどんどん増えていってしまいます。


実際によくある研修の光景

スライドはびっしり。
理論の名前もきれいに整理されている。

受講者はうなずいているし、
メモも取っている。

……でも、休憩時間になると、こんな声が出てきます。

話は分かるんですけど、
これ、明日どう使えばいいんですかね?

こうした声が出るとき、
情報が足りないのではなく、整理されていないことがほとんどです。


インプットは、これだけあれば足りる

正直、
全部を理解してもらう必要はありません。

最低限ほしいのは、この3つです。

  • どう考えればいいかの「軸」
  • 迷ったときの「判断の基準」
  • 現場でよくやりがちな「失敗の例」

ここが頭にしっかり入っていれば、
あとは現場で勝手に考え始めます。


研修で優先したいのは「理解」より「引っかかり」

正直、理論を全部覚えてもらわなくて大丈夫です。

それよりも、

  • あ、これ自分のことだ
  • 昨日も、似たようなことあったな

と、一瞬でも引っかかってもらうこと

この引っかかりが、
研修後の行動につながっていきます。

インプットを減らすのは、手抜きではありません。
考える余白を残すための設計です。


ステップ⑤|ワークは「現場そのまま」に近づける

ワークを考えるとき、
つい「ちゃんとした題材」を用意したくなりますよね。

でも実際には、
きれいに作り込んだワークほど、現場から遠くなる
ということがよくあります。

ここでは、

  • 良いワークの条件
  • ワークの題材
  • 話し合うワークの効果

に関してみていきましょう。


良いワークに共通している条件

良いワークには、

参加者が正解を考える前に、自分の現場を自然と思い浮かべる

という共通点があります。

たとえば―

部下から『間に合わないかもしれません』と言われたとき、どう返しますか?


という問いを出します。

この瞬間、参加者は「正解の返し」を探し始めるわけではありません。

多くの場合、先に思い浮かぶのは――


ああ、ちょうど先週部下に言われたな。。。


という、実際にあった場面です。

この場面には、
「これが正解」と言い切れる答えがありません。

  • 期限を優先するか、
  • 状況を聞くか、
  • 次につながる伝え方をするか。

人によって、
大事にしているポイントが違うからです。

だからこそ、さっきの問いに対して、
参加者は正解を探すより先に、
自分の部下やチームを思い浮かべながら、実際にあった場面の話をし始めます。

この時点で、
研修は「答えを聞く場」から、
自分の考えを持ち寄る場に切り替わっています。


なぜ「話し合うワーク」が効きやすいのか

正直、「正解」を教えるだけなら、
講義でも足りると思います。

でもディスカッションになると、
こんな変化が起きます。

  • 「自分、いつも同じ返し方してるな」と気づく
  • 他の人の考えを聞いて、選択肢が増える
  • 間違えてもいい空気の中で、試せる

この「安心して考える時間」があることで、
研修後の行動が少しずつ変わっていきます。

マネジメントは、
相手や状況が毎回少しずつ違うので、
正解を覚えるより、考え続けることのほうが多い仕事です。

だからこそワークは、
「答えを出す場」ではなく、
考え方を試す場に近づけていきます。


ステップ⑥|研修の最後は「行動を1つ決める」

結論として、
ここが一番大事なところです。

研修が終わった直後は、
誰でも少し前向きな気持ちになっています。

しかし、問題はそのあと。

翌日、席に戻って、業務メールを開いた瞬間。

研修の内容は、思ったより早く日常に埋もれてしまいます。


やることは「1つ」で十分

よくあるのが、

  • 明日から意識すること
  • 次の1週間で試すこと

を、いくつも並べてしまうケース。

一度の研修で覚えてほしい気持ちは分かります。

しかし、残念ながら覚えきることは難しい。

なので、決めるのは1つだけでいいです。

そして、
研修の最後に紙を1枚配って、
こう聞いてみてください。

明日から、何を1つだけ変えますか?

それを、書かせて口に出させる

これだけで十分です。

目標を言語化すると記憶に残りやすいという

目標を言葉にすると記憶に残りやすい

そんな話を聞いたことがあるかもしれません。

実際、誰かに宣言したことは、
不思議と自分でも覚えています。


よくあるNGな終わり方

そして研修の最後に、
こんな言葉で締めてしまうことはやめておきましょう。

  • できたらやってみてください
  • 意識してみましょう

この言い方だと、
研修で決めた行動は、現場に戻った瞬間に消えてしまいます。


ステップ⑦|研修後フォローまで設計して完成

研修当日は、
誰でも少し前向きになるものです。

  • 明日からやってみよう!
  • 今回はちゃんと変えたい!

その気持ちは、本物です。

でも実際には、
1週間もすると、日常に押し戻されてしまいます。


研修が「当日で終わってしまう瞬間」

よくあるのが、こんな場面です。

  • 研修翌日は忙しくて、何も試せない
  • 数日後には、研修の話題が出なくなる
  • 「あれ、何を決めたんだっけ?」となる

これは意識が低いからではありません。

仕組みがないだけなんです。


最低限、これだけは押さえておきたいフォロー

フォローと言っても
大がかりなことをする必要はありません。

押さえておくのはーー

  • 上司と研修内容を共有
  • 1か月後に、短い振り返りの時間をつくる
  • 「できた・できなかった」を話せる場を用意する

正直、これだけで十分です。

ではもう少し具体的に上記の3つを見てみましょう!


① 上司と研修内容を共有する

せっかくの研修後、
受講者の上司がまったく研修内容を知らないと、
現場では何も起きません。

研修内容は受講者本人だけで抱えず、

今回の研修で、○○を意識することになりました!

の一言を、上司が知っているかどうか。

それだけで、声のかけ方は変わります。

無理に時間を取って部下を指導しなくても、
「今それ試してるんだな」と分かるだけで十分。

共有しておくだけで、現場では動きやすくなります。


② 1か月後に、短い振り返りの時間をつくる

振り返り時間といっても、
1時間もいりません。

10分程度で十分です。

  • できたこと
  • 難しかったこと

これを言葉にするだけです。

振り返りは「できなかったこと」でもOKです。

むしろ、「できなかったこと」を言葉にすることで、
そこに次のヒントがあります。


③ 「できた・できなかった」を話せる場を用意する

話せる場は、
個別でも、数人でも大丈夫です。

大事なのは、
評価しない空気をつくることです。

「やった・やらなかった」を責めたり、
正解・不正解を決めたりしないことが大事です。

ただ、
実際にやってみてどうだったかを、
そのまま話せる場を用意してください。

すぐに大きく変わるわけではありません。

それでも、
試してみた行動の中から、
「これは使える」と感じたものが、
少しずつ残っていきます。


まとめ|マネジメント研修は「設計」が9割

最後に要点を整理します。

  • ゴールは行動で決める
  • テーマは絞る
  • 現場に近いワークを入れる
  • 行動を1つ決めて終える
  • 研修後フォローまで考える

この流れで作れば、
「やってよかった研修」になります。

マネジメント研修、何から考えればいいか分からない。

そう感じたら、まずはゴールを1行で書くところから始めてみてください。

そこから、研修づくりは自然に動き出します。



研修内容を一度、整理してみませんか?

研修内容を整理するところから、一緒に考えるお手伝いもしています。

  • 何を教えるか
  • どこまでやるか
  • どう進めるか

研修を考える中で、
ここが曖昧なまま進んでしまうケースはとても多いです。

その結果、

  • 「伝えたつもりだった」
  • 「現場で行動が変わらなかった」

という声もよく聞きます。

まずは、今の研修内容や悩みを言葉にして整理するところからで大丈夫です。

まだ具体的に決まっていなくても問題ありません。

この研修、どう組み立てればいいんだろう?

そう感じたタイミングが、見直しを始めるベストなタイミングです。

お気軽にご相談ください。

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