新入社員がつまずく5つの原因と対策|研修担当者が最初に見直すべきポイント
結論|新入社員がつまずく原因は「能力不足」ではない
新入社員がつまずく原因の多くは、
「本人のやる気や能力の問題」
ではありません。
多くの場合、
- 情報が多すぎる
- 正解が見えない
- 失敗していいラインがわからない
この3つが重なり、
「どう動けばいいかわからない状態」
になっています。
この記事では―
- 新入社員がつまずきやすいポイント
- 研修担当者ができる具体的な対策
を、現場目線で整理します。
うちの新人、どうしてこうなんだろう…
そんなモヤっとした悩みを解消できるよう、新入社員への教え方や関わり方を見直してみましょう!
つまずき①|「何から手をつければいいかわからない」

入社直後は、情報が一気に押し寄せてくる。
新入社員は、入社してすぐに
- 仕事の説明
- 社内のルール
- 電話やメールのマナー
- 社内システムの使い方
を、短い期間でまとめて教わります。
本人の頭の中では、
どれも大事そうだけど、どれからやればいいかわからない…
という状態になります。
その結果、
「仕事を間違えないように待つ」
という行動を選びやすくなってしまいます。
現場でよく見かけるサイン
こんな様子が出てきたら、
少し立ち止まって見てみてください。
- 指示が終わったあと、
→しばらく席で止まったままになっている時間が増える - メモは一生懸命取っているのに、
→何から手をつければいいか迷っている様子が見える - さっき説明したはずの内容を、
→「すみません、もう一度いいですか?」と何度も聞いてくる
これらはどれも、サボっているわけでも、
やる気がないわけでもありません。
頭の中では、
- どれも大事そう。
- でも、今なにから手をつければいいかわからない。
という状態になっていることがほとんどです。
その結果、
- 自分で判断して動くのが難しくなり、
- 確認が増えたり、
- 動きが遅く見えたりします。
これは能力や姿勢の問題ではなく、
優先順位が整理できていないだけのケースが大半です。
もし、この段階で、
「覚えが悪い」「理解していない」
と判断してしまうと、新入社員はさらに萎縮してしまいます。
まだ整理できていないだけだな
そう考えて関わるだけで、
声かけやサポートの仕方が変わってきます。
対策|「最初の1か月は、これだけできればOK」にする
ここで大切なのは、
教える量を増やすことではありません。
研修担当者がやるべきなのは、
「今はやらなくていいこと」を決めることです。
具体的にやること
たとえば、次のように
最初の1か月で求める行動を、3つだけ決めます。
最初の1か月は
- 時間を守る
- 報告だけは必ずする
- わからない時に黙らない
この3つができれば大丈夫です。
ここでのポイントは、
- 仕事のスピードは求めない
- 完璧さは求めない
- できないことがあっても責めない
と、言葉ではっきり伝えることです。
やることが3つに絞られると、新入社員は
- まずはここだけ守ればいい
- あとは少しずつ覚えればいい
と考えられるようになります。
やることを絞るのは甘やかしになるのでは?
と考える人もいますが、
情報量と合格ラインをはっきりさせることは、
新入社員が安心して動ける状態を作ることになるのです。
研修担当者へのひとこと
新入社員が止まってしまう原因は、
「覚えられないから」ではありません。
「どこまでやれば合格なのかわからない」
この不安を取り除くだけで、最初のつまずきは防げるんです!
つまずき②|「正解がわからず動けない」

新入社員は常に、
間違えたらどうしよう。。。
これで合ってるのかな?
と考えています。
特に中小企業では、
- マニュアルがない
- 人によって言うことが違う
という環境も多く、
正解が見えにくい状態になりがちです。
正解がわからないままだと、
新入社員は自分で決めることを避けるようになってしまいます。
よくある現場のサイン
次のような様子が出てきたら、
「慎重すぎる状態」になっているかもしれません。
- 自分で判断しない
- 小さなことでも確認が多い
- 行動スピードが極端に遅い
やる気がないのではなく、
失敗しないことを最優先にしているだけです。
対策|「正解」より「判断基準」を渡す
答えを全部教える必要はありません。
重要なのは、どう考えればいいかを伝えることです。
例―
- 迷ったら「お客さん視点」で考える
- 5分悩んだら相談していい
- ミスしそうな時は必ず止める
こうした判断の軸があるだけで、
新入社員は動きやすくなります。
正解を細かく決めるより、
判断の軸を共有するほうが、現場は回りやすくなります。
「考えてから動いていい」
このメッセージを渡せるかどうかが、
2つ目のつまずきを防ぐポイントになります!
つまずき③|「質問していいかわからない」

多くの新入社員は、
- 忙しそう
- 何度も聞いたら迷惑かも
と感じています。
その結果、
聞けない
↓
わからない
↓
動けない
という悪循環に入ります。
現場でよく見かけるサイン
次のような様子が出てきたら、
「質問を我慢している状態」かもしれません。
- 作業が終わったあとになって、ミスが見つかる
- 「それ、聞いてないです」と後から言われることが増える
- 話しかけたとき、表情がこわばっている
その場で聞いてくれれば防げたことでも、
聞けないまま進めてしまうケースは少なくありません。
なぜ質問できなくなるのか
新入社員の頭の中では、
- 忙しそうだな
- こんなこと聞いていいのかな
- また同じ質問だと思われないかな
といった不安が積み重なっています。
質問しないのは、
やる気がないからではなく、
遠慮しているだけという場合がほとんどです。
対策|質問しやすさは「空気」ではなく「決まりごと」で作る
「いつでも聞いていいよ」と言うだけでは、
なかなか質問は増えません。
質問しやすさは、気持ちの問題ではありません。
いつ・どう聞いていいかを決めてあげるほうが、確実に行動につながります。
具体的なやり方
たとえば、こんな工夫があります。
- 「この時間は質問していい」と時間帯を決める
- 「質問することは悪いことじゃない」と、最初にはっきり伝える
- よく出る質問をまとめて、あとから見返せるようにする
これだけでも、
「聞いていいタイミング」が見えるようになります。
さたに、効果的な一言があります。
それはー
質問してくれてありがとう!
質問があったときは、毎回こんな一言を添えてみてください。
この一言があるだけで、
- 聞いても迷惑じゃない
- 間違う前に聞いていい
と、新入社員は感じられるようになります。
結果として、
質問のハードルが下がり、ミスも減っていきます。
質問が少ないのは、
理解しているからとは限りません。
「聞ける環境があるかどうか」
そこを整えることが、
3つ目のつまずきを防ぐポイントになります!
つまずき④|「自分が成長している実感がない」

新入社員は、
- ほかの人と比べる材料がない
- どこまでできれば合格なのかわからない
という状態で仕事をしています。
そのためー
周囲比べて自分は遅れているかも…
と感じやすく、
成長している実感を持ちにくくなります。
現場でよく見かけるサイン
次のような変化が見えてきたら、
自信を失いかけているサインかもしれません。
- 話す声が小さくなり、遠慮がちになる
- 「大丈夫です」と言いながら表情が硬い
- 一度のミスを、いつまでも気にしている
能力の問題ではなく、
「できている感覚」が持てていないだけのことが多いです。
対策|小さな「できた」を、本人に見える形にする
成長は、どれだけ成長していても、
本人は意外と気づかないものです。
だからこそ、
「よく頑張ってるね」だけではなく、
具体的に何がどう変わったのかを伝えることが大切になります。
具体的な声かけの例
では具体的にとはどんな風な伝え方が最適でしょうか?
例えば―
最初のころは、報告が翌日になることが多かったのに、
最近は、その日のうちに必ず報告できてるね!
この部分は特に成長してるよ!
この伝え方のポイントは、
- 行動をそのまま言葉にする
- できるようになった「前」と「今」を比べる
- 評価ではなく、事実を伝える
この3つです。
新入社員は、うまくいかなかった場面のほうが印象に残りやすく、
成長している実感を持ちにくいです。
しかし、行動の変化を言葉にしてもらうことで、
少しずつだけど、前に進んでいる実感できるようになります。
その積み重ねが、
自信と次の行動につながります。
成長を感じられないまま時間が過ぎると、
不安はどんどん大きくなってしまいます。
小さな変化を見つけて、言葉にする。
それだけで、4つ目のつまずきは防げるので
是非、新人社員とのコミュニケーションに取り入れてみてください。
つまずき⑤|「失敗していい範囲がわからない」

新入社員の多くは、
- 失敗したら怒られる
- 評価が下がる
- 迷惑をかけてしまう
と考えてしまいます。
特に入社したばかりの時期は、
上司のことや社内の雰囲気がわからない状態なので、
どこまでなら許されるのかが見えません。
その結果―
- 自分から手を挙げない
- 新しいことに手を出さない
- とにかく無難な選択をする
という行動になりやすくなります。
現場でよく見かけるサイン
次のような様子があれば、
「失敗を怖がりすぎている状態」
かもしれません。
- 判断が必要な場面で、動きが止まる
- 「これで大丈夫ですか?」が極端に多い
- 少しのミスでも、必要以上に落ち込む
これらは、
やる気がないのではなく、
怒られないことを最優先にしてしまっているだけです。
対策|「どこまでなら失敗していいか」を言葉にする
ここで大切なのは、
失敗するなと伝えることではありません。
研修担当者が伝えるべきなのは、
- これはNGな失敗
- ここまではOKな失敗
の線引きをすることなんです。
具体的な伝え方の例
たとえば、こんな形で線引きをします。
- お客さんに迷惑がかかる前なら、失敗しても大丈夫
- 社内で止まるミスなら、経験としてOK
- ただし、隠すのはNG。早めに言ってくれたほうが助かる
このように伝えると、
線引きができて挑戦してみようという気持ちになります。
なぜ線引きがあると動けるのか
「失敗してはいけない」状態では、
人は慎重になりすぎて動けません。
一方で、
ここまでは挑戦しても大丈夫!
というラインが見えると、
新入社員は安心して一歩踏み出せます。
結果として、
- 行動が増える
- 学ぶスピードが上がる
という良い循環が生まれます。
よく、研修の目的に
失敗をゼロに!
を目的に行う企業がいますが、
残念ながら、
失敗をゼロにすることはできません。
しかし、失敗を学びに変える環境は作れます。
「ここまでは失敗していい」
この一言を言葉にするだけで、
5つ目のつまずきは大きく減らせます。
まとめ|新入社員のつまずきは「設計」で防げる
新入社員のつまずきは、
- 性格
- 世代
- 能力
の問題ではありません。
多くは、
- 情報の出し方
- 期待の伝え方
- 安心できる仕組み
で防げます。
研修担当者が少し視点を変えるだけで、
新入社員の動きは大きく変わっていくんです。
研修内容を一度、整理してみませんか?

研修内容を整理するところから、一緒に考えるお手伝いもしています。
- 何を教えるか
- どこまでやるか
- どう進めるか
研修を考える中で、
ここが曖昧なまま進んでしまうケースはとても多いです。
その結果、
- 「伝えたつもりだった」
- 「現場で行動が変わらなかった」
という声もよく聞きます。
まずは、今の研修内容や悩みを言葉にして整理するところからで大丈夫です。
まだ具体的に決まっていなくても問題ありません。
この研修、どう組み立てればいいんだろう?
そう感じたタイミングが、見直しを始めるベストなタイミングです。
お気軽にご相談ください。