研修担当者が使えるヒアリング質問集|新人・OJT・現場別に“行動を引き出す”聞き方
はじめに|結論:ヒアリングの質が“研修の成果”を決める

あなたがこの記事にたどり着いたということは、こんな悩みを抱えているのではないでしょうか?
- 新人から本音が聞けない
- OJT担当者が「特に問題ありません」と言ってしまう
- 現場リーダーが忙しくて、抽象的なコメントしか出てこない
- ヒアリングしても、研修テーマにつながる情報が集まらない
実際、研修担当者の多くがこの悩みを抱えています。
そしてこれらの悩みを抱える原因はすべて、
“質問の仕方が行動レベルになっていない”
ことが原因で起きます。つまり、
事実がわかる質問ではなく、“感想や印象しか引き出せない質問”になっている状態
になってしまっているということです。
研修の目的は 行動を変えること。
そのためには、現場で何が起きているかを
“どの場面で、何に迷ったのか”をハッキリ集めることが”大事です。
この記事では、
- 新人
- OJT担当者
- 現場リーダー
の3方向から使える
そのまま使える“行動ベース質問テンプレ” をまとめました。
さらに「質問がなぜ効果的なのか」という背景や根拠も補足し、
研修担当者が自信を持ってヒアリングできる形にしています。
第1章|なぜ“行動レベル”の情報が研修づくりを左右するのか

研修をうまくつくるためには、抽象的な悩みではなく、
「現場でどんな行動が起きているのか」
を細かく把握することが欠かせません。
理由は、研修で扱うべきテーマは“行動の事実”からしか導けないからです。
どの作業で、どの手順で、どんな瞬間につまずいているのか——
そこが分かるだけで、研修の方向性が自然と決まり、内容のブレもなくなります。
ポイント|抽象的な悩みでは、研修内容がぶれる
よくある悩みとして――
- 新人の覚えが悪い
- コミュニケーションが弱い
- ミスが減らない
こうした悩みはパッと見て分かりやすいですが、抽象的すぎて研修テーマに落とし込めません。
しかし、この悩みの中身を細かく分けて見てみるとどうでしょうか。
例えば「覚えが悪い」の中身(原因)は、本当はこうなっています。
- 手順が覚えられない
- 理解が浅い
- 判断できない
- 緊張で動けない
- 周りに聞けない
このように一言で「覚えが悪い」といってもこれだけの原因があります。
そして、これらはすべては“別物”の原因なので、研修で扱う内容もそれぞれ変わってきます。
レッスン|行動レベルに落とすと「課題が点で見える」
課題が点で見えるというと少しイメージしにくいかもしれませんが、わかりやすく言うと
「問題の場所が“ぼんやり”ではなく、“ここ!”と指差しできる状態になる」
ということです。
具体的に“どの場面で何が起きたか”まで落とし込むことで、課題がはっきり見えてきます。
例えば――
抽象的:覚えが悪い
具体的:
- マニュアルの5ページ目に書かれた「チェック欄」を毎回読み飛ばしている
- 手順2→3の移行で毎回 15〜30秒迷っている
- 電話対応で、名乗りの部分が 3秒以上の沈黙 になる
- 判断に迷った際、声をかけるまでに 2〜3分の空白 がある
ここまで具体化できると、研修内容が自然に決まります。
根拠|ただの“現場感”ではなく、理論的にも正しい
- Googleの「心理的安全性研究」
- デビッド・コルブの経験学習モデル
- 行動観察(Behavioral Observation)理論
これらの研究でも、
行動レベルの具体性は学習効果を高める前提条件 とされています。
つまり、抽象的ではなく“行動の瞬間”を聞くことは、組織改善の理論においても正しいアプローチなんです。
課題は“行動”に落とすと、ようやく姿が見えてくる!
第2章|新人ヒアリング質問集|“つまずいた瞬間”を特定する

新人は、自分でも問題を言語化できないケースが多いです。
- 「何が分からないのか分からない」
- 「迷惑をかけたくない」
- 「怒られたらどうしよう」
こんな状態では、本音は絶対に出てきません。
だからこそ、“どんな順番で質問するか”が、新人の本音を引き出すカギになります。
次のステップから、その具体的な流れを紹介します。
【ステップ①】成功ポイントを聞く(心理的安全性の確保)
まず最初は、新人が話しやすくなる“成功体験” を引き出すところから始めてみましょう。
いきなり「どこが難しかった?」と聞くと身構えてしまうので、
最初は気軽に答えられる質問で“安心の土台”をつくるのがポイントです。
そのため、次のような質問が効果的です。
- 今日いちばんスムーズにできた作業は?
- 「少し慣れてきたかも」と感じた場面は?
- 先輩に褒められたことはあった?
解説
上記のようにまずは、最初に“成功”から入ることで、新人は「話しても大丈夫」という安心感を持ちます。
心理的安全性が高まると、困っていることも言いやすくなるんです。
【ステップ②】困った瞬間を聞く(行動を特定)
成功体験で新人が安心したら、次は “どこで手が止まったのか” を聞き出してみましょう。
いきなり深掘りすると質問に答えにくくなるため、まずは「少し困った」「迷った」という軽い振り返りから入るのがポイントです。
そのうえで、以下のような質問を使うと、新人の“つまずいた場面”を具体的に把握できます。
- どの作業で手が止まった?
- 手が止まったのは何秒くらい?
- そのとき、何が原因だと思った?
- 先輩に声をかけづらかった理由は?
- 作業をもう1回やるなら、どこを変えたい?
解説
ここで大切なのは、「難しかった?」という感想ではなく、
“手が止まった瞬間”という事実を聞くこと。
例えば、
「データ入力が難しい」という言葉は抽象的ですが、
「入力項目の意味が分からず、操作に8秒ほど迷った」とわかれば、研修で改善すべきポイントが明確になります。
【ステップ③】成長度を測る質問(継続のモチベーション)
成功 → 困りごと が出たあとは、
新人が「できるようになったこと」
に目を向けてもらいます。
新人はどうしても“できていない部分”に意識が向きがちです。
だからこそ、あえて「成長」を言語化する時間をつくることで、
理解の定着やモチベーションアップにつながります。
そのために、次のような質問が効果的です。
- この1週間でできるようになった作業は?
- 不安が小さくなった工程はどこ?
- マニュアルで理解しやすかった箇所は?
- 前より時間短くできるようになった作業はあった?
解説
成長を自分の言葉で振り返ると、新人の中に「できてきている」という感覚(自己効力感)が育ちます。
この“できた感”は、翌週からの吸収スピードを大きく押し上げます。
また、研修担当者にとっては、
新人が何を理解できていて、何がまだ不安なのか を把握できるため次の育成ステップを設計しやすくなります。
新人の“迷った瞬間”を見つけられたら、もう半分成功です!
第3章|OJT担当者ヒアリング質問集|“教える側の詰まり”を可視化する

OJT担当者から本音を引き出すのは、実は新人以上に難しいことがあります。
理由は――
- 「教え方に自信がないと思われたくない」
- 「自分のせいにされるのは嫌だ」
- 「本当は困っているけど、忙しくて言えない」
こうした気持ちがあるため、OJT担当者は “問題があっても表に出しにくい立場” なんです。
しかし、OJTがどこで困っているかが分からないままでは、育成の仕組みも研修の内容も、改善しようがありません。
ではどうすれば本音を引き出せるのか?
──その答えは、
「新人 → 自分 → ギャップ」という順番で聞くこと。
この順番を押さえるだけで、OJT担当者は驚くほど話してくれるようになります。
ここから、その再現性のある方法を詳しく紹介します。
【ステップ①】新人のつまずきを聞く
まずは、OJT担当者の視点から 新人がどこでつまずいているのか を確認しましょう。
新人自身は気づいていなくても、毎日そばで教えているOJT担当者は、
- 「迷っていた瞬間」
- 「手が止まりやすい場面」
を意外と正確に捉えているものです。
その“感覚的に見えているポイント”を言語化してもらうことで、研修で扱うべき具体的な課題が浮かび上がってきます。
そのために、次のような質問が効果的です。
- 新人が一番苦戦している作業はどれ?
- 説明しても伝わりづらいと感じる場面は?
- 質問してこないことが多い工程は?
- 誤解が生まれやすい手順や言い回しは?
解説
OJT担当者は、新人の“分かっているように見えて、実は理解が浅い部分”を直感的に感じ取っています。
ここを聞き出すことで、研修で取り上げるべき 「新人がつまずきやすい共通ポイント」 が明確になります。
また、OJT担当者自身が「実は説明しにくい」と感じている部分が見えるため、研修計画の精度も大きく上がります。
【ステップ②】OJT担当者自身の負担を聞く
新人の状況を押さえた次は、
OJT担当者自身が“どこで負担を感じているか” を明確にする段階です。
OJT担当者は日々の業務と育成を同時にこなしているため、新人がつまずく理由だけでなく、
どの工程の説明が時間を取られたり、分かりにくくなっているのか
という視点で見えていることがあります。
この“教える側の負担ポイント”は、新人からのヒアリングだけでは絶対に見えてこないため、
研修設計に欠かせない重要な材料になります。
そのため、次のような質問を投げかけてみましょう。
- 説明しにくい手順や工程はどこ?
- 他の先輩と教え方がズレていると感じる部分は?
- 育成の時間が足りなくなる原因はどんなとき?
- 「ここは研修でフォローしてほしい」と思う内容は?
解説
OJT担当者が「負担だ」と感じている部分には、
業務フローの複雑さ・判断基準の曖昧さ・マニュアルの欠陥
など、“仕組み側の問題”が潜んでいることが多いです。
これらは新人自身では気づけない領域であり、ここを明確にすることで、研修内容の精度を一気に高めることができます。
【ステップ③】新人とのギャップを聞く
新人のつまずき(ステップ①)と、OJT担当者の負担ポイント(ステップ②)が見えてきたら、
次に確認したいのが “認識のズレ” です。
育成現場では、
- OJT担当者は“伝えたつもり
- ”新人は“理解したつもり”
になっていることが非常によくあります。
このズレは、どちらかが悪いわけではなく、
同じ説明でも受け取り方が異なる“構造的な現象” です。
しかし、このズレこそが、
- ミスが繰り返される
- 作業スピードが上がらない
- 理解が定着しない
といった問題の根本原因になっていることが多いのです。
そこで、次のような質問を投げかけ、OJT担当者が感じた「ズレの瞬間」を具体的に拾い上げます。
- 「理解しているはず」と思ったのに、違っていた場面は?
- 新人の動き出しが遅くなる工程は?
- 判断に迷っていたと感じる瞬間は?
- 同じ説明でも、新人によって反応が違う作業は?
解説
このステップで見えてくる“認識のズレ”は、新人が誤解しやすいポイント=研修で扱うべき核心部分 です。
研修内容にこの誤解ポイントを入れるだけで、育成のスピードが驚くほど上がります。
OJTのつまずきは“仕組み”のヒント。個人を責めないことがカギです!
第4章|現場リーダーヒアリング|“フローの詰まり”を発見する
現場リーダーは、日々の業務を通して チーム全体の動きや流れ を一番よく見ています。
新人やOJTだけでは気づけない、
- 「どこで業務が止まるのか」
- 「どの工程でミスが起きやすいのか」
といった“現場のリアルな詰まり” を把握しているのがリーダーです。
だからこそ、リーダーへのヒアリングは、
個人の課題ではなく “組織全体の改善ポイント” を見つけるうえで欠かせません。
特に、
- ミスが繰り返される原因
- 作業が遅れるタイミング
- 情報共有がうまく流れない場面
こうした問題は、新人やOJTだけでは絶対に把握できません。
では、リーダーから“現場の詰まり”をどう引き出すのか?
──ここから、すぐに使える具体的な質問を紹介します。
【ステップ①】フローの詰まりを聞く(現場が止まる“瞬間”を具体化する)
リーダーへのヒアリングでは、
まず 「業務の流れが止まった瞬間」 を具体的に思い出してもらうところから始めてみましょう。
というのも、フローの詰まりは“常に同じ場面・同じタイミングで起きている” ことが多く、
リーダーはその「瞬間」を直感的に覚えているものだからです。
ポイントは、大きな課題ではなく “その瞬間に何が起きていたか” を掘り下げること。
そのため、次のような質問が役立ちます。
- どの手順で動きが止まることが多い?
- 遅れが発生したとき、直前に何が起きていた?
- 情報が行き違うのはどのタイミング?
- 新人が迷うのはどの場面?
解説
フローの詰まりを“瞬間”で聞くことで、原因が
- スキルなのか
- 判断なのか
- ルールなのか
が見えやすくなります。
これはリーダーだからこそ答えられる、非常に価値の高い視点です。
これは、個々のスキルだけではなく、チーム全体の動きを改善するための最も重要な材料になります。
【ステップ②】リーダー自身の負荷を聞く(判断・調整の手間を明確にする)
フローの詰まりが見えたら、次に確認したいのは、
リーダー自身がどこで負荷を感じているかです。
リーダーは日々、
新人・OJT・他部署との連携、判断の取捨選択など“調整役”として多くの作業を同時にこなしています。
そのため、フローには表れない
「判断に迷う場面」や「手間が増える工程」 が存在します。
こうした“リーダーにしか見えない負荷”を言語化することで、
現場全体の改善ポイントがより立体的に浮かび上がります。
次の質問が有効です。
- どの工程で判断が難しくなる?
- 報連相が増えて業務が止まりやすいタイミングは?
- 連携に時間がかかる場面はどこ?
- リーダーとして「ここが整っていない」と感じる部分は?
解説
リーダーの負荷には、
- 仕組みの穴
- 判断基準の曖昧さ
- 情報整理の不備
など“構造的な問題”が潜んでいます。
ここを把握することで、研修だけでなく 業務設計そのものの改善 にもつながります。
【ステップ③】チーム全体の認識ズレを聞く(連携ミスの原因を特定する)
最後に確認したいのは、
チーム内で起きている“認識のズレ” です。
- フローの詰まり(ステップ①)、
- リーダー自身の負荷(ステップ②)
その背景には、例えば――
- 伝えた意図が別の意味で受け取られる
- 同じ基準で判断しているつもりなのにズレる
- 部署間で情報の優先順位が違う
といった “ズレによるすれ違い” が隠れていることが多いのです。
そのため、以下のような質問で
「どんなズレがどの場面で起きるのか」を立体的に把握します。
- 情報共有で誤解が起きやすいのはどこ?
- 各メンバーで判断の基準が揃っていないと感じる場面は?
- 作業の優先順位が揃っていないと感じた瞬間は?
- 「言った・言っていない」が発生しやすい工程は?
解説
認識ズレは、ミス・手戻り・遅延の“見えにくい原因” です。
ここを研修で扱うことで、単なるスキルではなく “チームとしての動き” を改善できます。
リーダーの一言は“現場全体の改善ポイント”への近道です!
第5章|ヒアリングを成功させる5つのコツ(PREP)
ヒアリングは「質問すれば情報が出てくる!」というわけではありません。
同じ質問でも、順番・聞き方・言い換え方 が違うだけで、ヒアリング相手から引き出せる情報の質が大きく変わります。
特に新人・OJT・リーダーの3者は、それぞれ「質問の答えをためらう」理由が違うため、
ヒアリング方法に少し工夫を加えるだけで、“行動が見える情報”が一気に集まるようになります。
ここでは、研修担当者がすぐに使える本音を引き出す5つのコツ を紹介します。
【コツ①】抽象ではなく“数字”で聞く
Point|答えを具体化するための最短ルート
抽象的な質問では、どうしても感想しか返ってきません。
そこで効果的なのが 数字を含めた聞き方 です。
例えば――
×「仕事どうだった?」
○「今日の10〜12時の間で、手が止まった場面はあった?」
このように数字を入れると 時間・工程・状況 が一気に明確になり、
現場の映像が浮かぶレベルの情報が引き出すことができます。
【コツ②】感情ではなく“事実”を聞く
Reason|改善につながる情報は“起きたこと”だけ
「大変でした」「難しかったです」などの感情は、聞いてもなんの改善につながりません。
大事なのは、感情の奥にある “具体的に何が起きたか”。
例えば――
×「大変だった?」
○「どの手順で何が起きた?」
“起きた事実”を聞くことで、研修内容の材料になる 行動データ が得られます。
【コツ③】質問は“答えやすい順番”で
Example|心理的安全性をつくる手順がある
人は、いきなり「何が難しかった?」と聞かれると身構えます。
そこで、心理的安全性を高める 質問の黄金ルート を使います。
- 雑談(安心)
- 成功したこと(承認)
- 困ったこと(本音が出始める)
- 深掘り(行動の特定)
- 今後の支援(前向きに終わる)
この流れに沿うだけで、
新人もOJTも「話しても安全だ」と感じ、本音が出やすくなります。
【コツ④】責める空気をゼロにする
Explanation|言葉選びが本音の出やすさを左右する
どれだけ良い質問でも、
“責められている” と相手が感じた瞬間、口は閉じます。
例えば――
×「なんでできなかった?」
○「どの場面がやりづらかった?」
原因追及ではなく、状況確認の姿勢 を示すこと。
この小さな言い換えが、本音を引き出す最大のポイントです。
【コツ⑤】最後に“分類”して整理する
Point|研修テーマが自動的に浮き上がる
ヒアリングで出てきた話は、いろんな内容が混ざって見えます。
でも、この5つの種類に分けるだけで、研修で何を扱うべきかがハッキリしてきます。
- スキル不足
- 知識不足
- 判断の迷い
- マインド・心理
- フロー(業務設計)の問題
分類すれば、「何を研修で扱うべきか」が自然に決まります。
質問の順番と聞き方を少し変えるだけで、本音の引き出し方は見違えるよ!
第6章|ヒアリング結果を研修に落とす方法

ヒアリングをして情報が集まってくると、多くの研修担当者が次にぶつかるのが
で、結局どんな研修にすればいいの?
という壁です。
結論から言うと、研修づくりで最も大事なのは “行動ゴールから逆算する” こと。
研修は、知識を増やすためではなく、現場の行動を変えるために存在しています。
ここでは、ヒアリング結果を迷わず研修内容に落とし込むための手順をわかりやすく紹介します。
【ステップ①】最初に“行動ゴール”を一つ決める
Point|研修はゴールがないとブレる
ヒアリングをすると、いろいろな課題が出てきます。
しかし、すべてを研修で扱うのは不可能です。
だからこそ、まず最初に
「この研修で、現場の何ができるようになれば成功か?」
という行動ゴールをひとつ決めます。
例えば――
- 「判断に迷ったら30秒以内に相談できる」
- 「手順2→3で止まらずに移行できる」
- 「電話の名乗りを詰まらずに言える」
行動ゴールが決まると、
研修の内容は自然とそこへ向かって整理されます。
【ステップ②】行動を妨げている“原因”を整理する
Reason|改善の方向性を決めるための大事な工程
行動できない理由は、人によってさまざまですが、
実は 5つのどれかに分類できます。
- 知識不足(何をすればいいか知らない)
- スキル不足(やり方が分からない)
- 判断の迷い(判断基準が不明確)
- 心理的な不安(間違えるのが怖い)
- フローの問題(業務の仕組み側に原因)
原因が違えば、当然、研修の内容も変わります。
ここを整理することで、テーマの方向性が明確になります。
【ステップ③】原因に合った研修手法を選ぶ
Example|“合う手法”を選ぶだけで効果が変わる
原因ごとに、相性の良い研修手法は異なります。
知識不足
→ 図解説明・チェックリスト・手順書の改善
スキル不足
→ ロールプレイ・実技練習・OJTと連携した反復
判断の迷い
→ ケーススタディ・判断基準づくり・シミュレーション
心理的な迷い
→ 1on1面談・成功体験共有・声かけルールの明確化
フローの問題
→ 手順見直し・動線改善・情報共有の整備
手法選びを間違えると、どれだけ研修しても行動は変わりません。
原因に“合う手法”で取り組むことが大切です。
【ステップ④】行動変化を“見える化”する
Point|測れない研修は定着しない
研修の成果を確認するためには、
「できた」かどうかを判断できる基準 が必要です。
例えば――
- 相談までの時間が2分 → 30秒以内に
- 手順の迷いが1日5回 → 1回以下に
- 電話の名乗りが詰まる → スムーズに言える
数値や行動基準があると、現場も研修担当者も、改善状況を共通で把握できます。
【ステップ⑤】現場で“そのまま使える形”にして渡す
Explanation|研修は“やって終わり”では効果が出ない
研修は、受けた瞬間より、
現場に戻ってからの行動が最も重要 です。
そのため、研修後にすぐ使えるように
以下のような“現場ツール”を用意します。
- 判断基準表
- 振り返りシート
- チェックリスト
- 研修後の行動目標
- 朝礼・引き継ぎの共有文案
これがあるだけで、行動が定着するスピードが大きく変わります。
まとめ|質問が変われば、研修の質も成果も変わる
- 抽象的な悩みでは研修は変わらない
- 行動レベルの情報こそ研修設計の材料
- 新人・OJT・現場の3方向で聞くと“ズレ”が消える
- 質問順が心理的安全性をつくる
- テンプレを使えば誰でも再現性のあるヒアリングができる
研修は、内容よりも “準備の質” で成果が決まります。
明日からのヒアリングに、このテンプレをそのまま活用してみてください!
おわりに|研修の悩み、ひとりで抱え込まなくて大丈夫です
研修づくりや育成の仕組み化って、
実は“担当者ひとりだけ”で抱え込むには重すぎるテーマです。
- 研修の方向性がこれでいいのか不安
- ヒアリングした情報をどう整理すればいい?
- 新人育成の流れを整えたい
- 現場の声をまとめきれない
- OJTと新人のズレがうまく埋まらない
こうした悩みがあれば、
一度プロの視点で整理すると、びっくりするほど道筋が見えてきます。
テンツキスタジオでは、
「伝えるのが苦手でも、仕組みで育成できる環境づくり」 をテーマに、
業務説明のアニメーション制作や研修資料の整理サポートを行っています。
例えば難しいIT関連の研修でも下記のサンプルのようにわかりやすく制作可能です。
「うちの研修も、もっと“伝わりやすく”できるかも…」
そんなふうに少しでも感じたら、どうぞ気軽にご相談ください。
小さな工夫でも、研修のわかりやすさや現場での定着が大きく変わります