研修がうまくいくかは8割ここで決まる|研修担当者のための講師打ち合わせ完全ガイド
結論|研修の出来は「講師との打ち合わせ8割」で決まる
研修がうまくいかなかった原因は、
講師のスキル不足でも、受講者のやる気不足でもありません。
多くの場合、原因は「打ち合わせ不足」です。
- 現場の状況が講師に伝わっていない
- 研修後に何を変えたいのか共有できていない
- 当日の進め方が曖昧なまま始まっている
この状態で研修をしても、
「いい話だった」で終わる可能性が高くなります。
この記事では、
研修担当者が“講師との打ち合わせでやるべきこと”を時系列で整理し、初めての担当者でも失敗しにくい形でまとめます。
なぜ講師との打ち合わせが重要なのか

理由|講師は「会社の事情」を知らないから
外部講師は、
研修のプロではありますが、あなたの会社のプロではありません。
- 社内の雰囲気
- 受講者のレベル差
- 現場で起きているリアルな問題
- 上司が何を期待しているか
これらを知らないまま話すと、
- 「報連相が大事」
- 「意識を高めましょう」
といった、誰にでも当てはまる話が中心になりがちです。
内容は正しくても、「自分たちは何をどう変えればいいのか」が見えず、
現場に活かしにくい研修になってしまうんです。
つまり――
研修担当者の役割は、
「現場の翻訳者」になることです。
現場で起きていることを、講師が理解できる形に整理して伝える。
この役割を果たせるかどうかで、研修の質は大きく変わります。
ここからは、講師との打ち合わせでやることをステップごとに見ていきましょう!
【ステップ①】打ち合わせ前に整理すべき3つのこと

いきなり講師と話し始めるのはおすすめしません。
まずは、研修担当者側で次の3点を整理します。
① なぜこの研修をやるのか(背景)
例――
- 新人のミスが減らない
- クレーム対応にばらつきがある
- 管理職の指示が現場に伝わっていない
ここでは「困っていること」を、そのまま言葉にすることが大事。
「意識向上」などの抽象的な表現にする必要はなしです。
② 研修後、何ができるようになってほしいか
ここはとても重要。
行動レベルで書くのがポイントです。
× 抽象的な例
- 意識を高めたい
- 理解を深めたい
○ 具体的な例
- クレーム対応の初動を統一できる
- 報告のタイミングが揃う
- ミスが起きた時の動きが明確になる
③ 受講者のリアルな状態
- 新人か、ベテランか
- 現場経験はどれくらいか
- 研修に前向きか、消極的か
ここを講師に伝えないと、講師は「平均的な受講者」を想定してしまいます。
【ステップ②】講師との打ち合わせで必ず話すこと

ここからが本題です。
打ち合わせでは、次のポイントを順番に共有します。
① 研修の背景と現場の悩み
まずは課題の共有から。
- どんなことで困っているか
- なぜ今回研修を企画したのか
ここを丁寧に話すことで、講師は「何を重視すべき研修か」を理解できます。
② 研修後に期待する“行動”
次に、研修後のゴールをすり合わせます。
研修が終わったあと、受講者にどんな行動をしてほしいのかを、講師と具体的に確認します。
- 研修後、受講者にどんな行動をしてほしいか
- どんな場面で使えるようになってほしいか
このすり合わせが甘いと、研修後に「何ができるようになったのか」を判断できません。
③ 研修形式の相談
研修形式の相談は、受講者のレベルや人数に応じて調整しますしょう。
- 講義中心か
- ワーク多めか
- ロールプレイを入れるか
ここでは「任せます」ではなく、現場目線の希望を伝えることが大切です。
④ 当日の流れと役割分担
研修当日は、想定どおりに進まないことがほとんどです。
そのため、「何か起きたとき、誰が判断するのか」を事前に決めておく必要があります。
例えば――
- 研修担当者はどこまで関与するか
- 質問対応は誰がするか
- 時間が押した場合の判断
ここを決めておくと、当日は迷わず対応でき、研修に集中できます。。
【ステップ③】打ち合わせでよくある失敗と防ぎ方

ここまでで、講師との打ち合わせで確認すべきポイントは整理できました。
ただ、頭ではわかっていても、実際の打ち合わせではうまくできないケースも多くあります。
そこで次は、研修担当者がつまずきやすい失敗と、その防ぎ方を見ていきましょう!
失敗①|「いい研修をお願いします」で終わる
これは本当によくあります。
防ぎ方――
- 困っている具体例を1つでも伝える
- 実際の現場エピソードを話す
失敗②|ゴールが曖昧なまま進む
「意識づけ」「理解促進」をゴールにしてしまうと、
車の運転は「安全運転を心がけましょう」と言っているのと同じです。
言っていることは正しくても、何をどう変えればいいのかが見えません。
研修でも同じで、行動が決まっていないと、成果は確認できません。
防ぎ方――
- 行動レベルで言語化する
- 研修後の変化を一文で言えるようにする
失敗③|講師任せにしすぎる
冒頭でも言いましたが、講師は研修のプロですが、あなたの会社や現場の事情までは知りません。
任せきりにすると、
正しいけれど、現場とは少しズレた話
になりがちです。
そのため――
- 実際の業務で困っている場面
- 受講者の特徴や反応
こうした現場情報は、研修担当者が補う必要があります。
事前に共有しておくだけで、研修内容はぐっと“自分たち向け”になります。
【ステップ④】打ち合わせ内容を研修成果につなげる工夫

打ち合わせで決めたことは、簡単でいいので文章に残しておきましょう。
- 今回の研修の狙い
- 研修後のゴール
- 当日の流れや判断ルール
文章に残しておくことで、
研修後に「何を目指した研修だったのか」を正しく振り返ることができます。
そして、記録があるとことで――
- ゴールは達成できたか
- どこがうまくいったか
- 次に改善すべき点は何か
を感情ではなく、事実ベースで整理できます。
事実を整理しておくことは今後の研修にも役にたちます。
面倒くさがらず必ず文章に残しておきましょう!
補足|打ち合わせ内容は「動画」で残す選択肢もある
講師との打ち合わせで出た、
- 行動のポイント
- 注意点
- 研修後に特に伝えたい部分
これらは、短いフォロー動画にすると定着しやすくなります。
文章だけでは伝わりにくい内容ほど、動画との相性は良いです。
まとめ|講師との打ち合わせは「研修の設計図」
研修担当者の仕事は、研修当日だけではありません。
- 事前に整理する
- 講師とすり合わせる
- 当日を支える
- 研修後につなげる
講師との打ち合わせは“設計図づくり”です。
設計図がしっかりしていれば、研修は自然とうまくいきます。
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研修内容を一度、整理してみませんか?

研修内容を整理するところから、一緒に考えるお手伝いもしています。
- 何を教えるか
- どこまでやるか
- どう進めるか
研修を考える中で、
ここが曖昧なまま進んでしまうケースはとても多いです。
その結果、
- 「伝えたつもりだった」
- 「現場で行動が変わらなかった」
という声もよく聞きます。
まずは、今の研修内容や悩みを言葉にして整理するところからで大丈夫です。
まだ具体的に決まっていなくても問題ありません。
この研修、どう組み立てればいいんだろう?
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